大判例

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大阪地方裁判所 昭和41年(ワ)3753号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕二、そこで、まず右賃貸借契約における原告の賃貸する旨の意思表示が詐欺に基づくものであるか否かについて判断する。

<証拠>を総合すると、被告正己は昭和四〇年一〇月ころその妻である被告兌子と相談のうえ、被告兌子の退職金と被告正己の所持金で本件家屋を訴外吉永義雄から買い受けることし、その取引および本件家屋の敷地である本件土地を貸借する交渉は被告正己がなしていたこと、そして本件家屋を買い受けたのちその所有名義人を誰れにするかについては夫婦間のことでもあり具体的に決まつていなかつたので、被告正己が本件土地を賃貸してくれるように原告に申し込んだ際にも、誰れが本件家屋を買い受けたと具体的に説明したものではないこと、および被告正己としても夫婦間のことでもあり、本件家屋の所有名義人を被告兌子にしたら本件土地の貸借人も被告兌子にするのが本来であるとは知つていなかつたことが認められる。

そして、右認定事実によると、被告正己が原告から本件土地を貸借するに当たり、原告を欺罔したとは到底いえないのであつて、この点についての原告の主張は失当である。

三、つぎに、貸借権の譲渡による契約の解除について判断する。

本件家屋が被告兌子名義で所有権移転登記のなされていることは当事者間に争いがなく、かつ本件家屋の買い受け代金は被告ら両名において負担したこと前記認定のとおりであるところ、その負担した割合についてはなんら立証がないから、少くとも本件家屋は被告らが各二分の一の割合の持分で共同所有しているものと推認される。そして、本件土地は被告正己が単独で貸借しているのであるから、本件土地に対する貸借権は被告兌子の本件土地に対する二分の一の持分権を実効性あるものとする限度において被告兌子に譲渡され、あるいは転貸されていると解するのが相当である。

しかし、前記認定のとおり被告らの夫婦であり、本件土地に対する二分の一の割合の貸借権の譲渡ないし転貸があつたとしても、本件土地の利用および賃料の支払などの実質関係になんら変動がないのであるから、これについて原告の承諾がなくても原告に対する背信行為とはいえず、したがつて、民法六一二条による解除の事由とはならないと解すべきである。(なお、このことは本件家屋が被告兌子の単独所有であり、その結果本件土地に対する貸借権が被告兌子に全部譲渡され、あるいは転貸された場合でも同じである。)

したがつて、この点に関する原告の主張も失当であり、本件家屋の収去と本件土地からの退去、明渡しおよび賃料相当損害金の支払を求める原告の請求は理由がない。(中山博泰)

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